はじめに:副業・起業が注目される背景

近年、副業や起業が注目を集めています

その背景には、働き方改革の推進といった国としての政策や方針として副業を推進している、という点が大きくかかわってきています。

また、環境的な面では、メルカリやココナラなど、個人が活躍できるプラットフォームが充実しているという点が挙げられます。

本記事をご覧の方は、個人事業主や会社設立などに興味のある方が多いかと思いますが、「いきなり独立は不安だから、まずは副業から…」という人も多いでしょう。

本記事では、副業に関する最新のトレンドと、副業を取り巻く環境について解説していきます。

副業・起業を後押しする国の政策と社会の動き

政府は、副業・兼業を促進し、多様な働き方を認める方向に舵を切っています。

具体的には、下記のような方針を打ち出しています。

働き方改革の実現

政府は、「働き方改革実行計画」において、労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図ると明記しています。

参考)「働き方実行計画概要」>「5.柔軟な働き方がしやすい環境整備」

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000173130.pdf

「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効。」

副業・兼業の促進に関するガイドライン

厚生労働省は、企業や働く人が副業・兼業を行う際の留意事項をまとめたガイドラインを策定し、定期的に改訂しています。このガイドラインは、副業・兼業を円滑に進めるための指針となっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf

モデル就業規則の改定

モデル就業規則において、副業・兼業に関する規定が新設され、多くの企業が自社の就業規則を改定するきっかけとなっています。

具体的には、平成30年1月、モデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設しました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

地方創生との連携

働き方改革関連法の改正により、多くの企業で副業が認められるようになり、副業に関する相談件数も増加傾向にあります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークが普及し、時間や場所にとらわれない働き方が可能になったことも、副業・起業を後押しする要因となっています。

そのような中で、都市部の人材を地方に呼び込み、地域活性化につなげるため、副業・兼業を促進する施策が講じられています。

最近では、副業人材に特化して、地方企業と副業人材をマッチングするためのサイトも多く提供されています。

例)
シューマツワーカー:https://shuuumatu-worker.jp
サンカク:https://sankak.jp/

就業規則で副業が禁止されている場合は?

「副業はやってみたいけど、会社が副業禁止で…」という場合も多いでしょう。

社会的な流れとしては、副業を容認する機運が高まっていると言えますが、副業を禁止している会社も多くあります。

前述のガイドラインやモデル就業規則に強制力はないため、原則として会社の就業規則や副業規定で副業が禁止されている場合、副業はできません。

また、副業禁止とは明記していなくても、競業避止義務を就業規則に定めている会社も多くあります。

競業避止義務とは、自社の従業員が競業にあたる事業を行えないようにすることを指します。

例えば、マッチングアプリの制作・運営をしている会社に勤めているエンジニアが、副業として同じようなマッチングアプリを作成するような場合を指します。

副業の定義は実はあいまい

副業の定義は法律で定められておらず、明確な定義はありません。

一般的には、本業以外で収入を得る仕事、または本業の収入を補てんするために取り組む仕事とされています。

例えば本業のほかに、週末だけスーパーでアルバイトをしたとします。

その場合は何となく「本業以外で収入を得ている」=副業をしている、と認識されますよね。

では、趣味で制作している人形を、不定期にメルカリで販売することは「副業」でしょうか?

あるいは、親が所有している賃貸アパートを相続し、賃貸収入がある場合も「副業」にあたるでしょうか?

このように、何をもって「副業」とするかは実は曖昧なのです。

「プロボノ」という選択肢もある

会社の就業規則で副業が認められていない、でも副業がしたい…という場合、理想的なのは会社に副業を認めてもらうことです。

副業を認めてもらうよう相談したり、前述のように国が推進しているという背景を踏まえて、副業禁止の理由を聞いてみるのも一つの手段ではあります。

会社の人事部(=就業規則の所管部署)も、「社員からの要望が多いので、副業について検討するか」となる可能性もあるかもしれません。

ただ、それらが難しい、という場合は「プロボノ」という選択肢もあります。

プロボノとは、ラテン語の「Pro Bono Publico(公共善のために)」を語源とし、職業上のスキルや経験を活かして社会貢献活動を行うことを意味します。

例えば、WEBサイトの制作を本業とする人が、NPO法人のWEBサイトを無料で作成する、などのイメージです。

就業時間外のボランティアを会社が禁止できないのと同様に、プロボノは副業の定義である「本業以外で収入を得る仕事」に該当しないため、副業禁止に引っかからない、というメリットがあります。

プロボノとボランティアの違い

無償で仕事をすること?ボランティアということ?と思われるかもしれませんが、プロボノとボランティアでは以下の違いがあるとされています。

スキルや経験

プロボノとボランティアの1つ目の違いは、社会課題に取り組む際に、職業上のスキルや経験を活かしているかどうかです。

ボランティアは本業のスキルとは関係なく参加できますが、プロボノは専門的な知識やスキル、経験が求められます。

本業への還元

プロボノとボランティアの2つ目の違いは、プロボノの社会貢献活動を本業にも還元できるという点です。

プロボノを通じて新たな人脈を築いたり、本業に役立つ新しいスキルが得られたりすることもあります。

また、前述のように起業前に経験値を積むための活動としても、良いきっかけになり得る、ということができます。

まとめ:副業は新たな可能性への扉を開く

副業は起業の試金石としての役割のほか、人脈を広げたり、本業への良い影響の可能性もあるなど、近年ポジティブにとらえられ始めています。

一方で、所属する会社のルールを守らずに始めたり、安易な気持ちで始めるのではなく、しっかりと準備を行い、計画的に取り組むことが重要です。

本記事が、副業を検討する方のお役に立てれば幸いです。

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