「起業するためにPCを新調しようと思っている」
「でもPCには詳しくないので悩んでいる」
「起業にあたりPCはどう選んだら良いの?」
今はどんなお仕事にも、PCは必須。
会社員であれば、会社から貸与されたPCを使うのが一般的です。
しかし、起業したりあるいは個人事業主・フリーランスとして独立したいと思っている場合、自分でPCも調達する必要があります。
とはいえ、「PCについてはあまり詳しくないんだけど…」という方も多いと思います。
そこでこの記事では、起業家・フリーランスにおススメのPCスペックについて詳しく解説します。
結論:起業家・フリーランスにおススメのPCスペック
結論からお話しすると、PCを選ぶ際には下記を目安として選びましょう。
- OS:Windows11 Pro
- CPU:Core i5以上
- メモリ:8GB以上(できれば16GB)
- ストレージ:SSD/512GB以上
- サイズ:13.3インチ~14インチ
- 重さ:1kg未満
家電量販店なり法人向けサイトなりでPCを調達するにあたっては、上記を目安にしていただければまず間違いはありません。
以下にて、それぞれについての解説も記載しておきますね。
PCを選ぶ際のポイント
まずはPCの基礎についておさらい
まずは、パソコン(PC)について簡単におさらいです。
PCは以下の要素で構成されています。
- OS(オペレーティングシステム):PC全体の動作を制御するシステム
- CPU:マウスやキーボードから受け取ったデータを処理する演算装置。PCの「頭脳」
- メモリ:データを処理する「作業机」的な役割
- ストレージ:データを保管しておく「作業場」的な役割
OSはWindows11 Pro
OSについては、現在主に下記の3種類が存在します
- Windows:Microsoft社製。市場シェアの9割を占める。
- MacOS:Apple社製。デザインやディスプレイの綺麗さに強み。
- ChromeOS:Google社製。コストパフォーマンスに優れる。
どのOSもそれぞれに特徴はありますが、結論として起業・フリーランスにおススメなのは「Windows11 Pro」です。
Windows11 Proがおススメの理由
- 市場シェアが高い=顧客とのやり取りに支障がない
Windowsは市場の8-9割を占めており、要は「顧客・協力先となる大体の企業はWindowsを使っている」ということになります。
Windows-Mac間では、OSやファイルのフォーマットの違いにより、データの授受が上手くいかないケースがあります。そのため、特にデザイン関係のビジネスでない限りは、Windowsを選んでおいた方が無難、となります。
- Proに搭載の「暗号化機能」は必須
Windows ではHomeとProというエディションの違いがありますが、注目すべきはProに搭載されている「BitLocker」という機能です。
これは、PCの中にあるデータを暗号化するという機能です。
起業・フリーランスにおいて、例えばPCが壊れたりしてデータがなくなる、という事態も怖いですが、それより避けるべきなのは「PCの紛失・盗難による顧客情報の漏洩」です。
PCにログインする際にパスワードを設定している、という場合も多いと思いますが、PCを解体して中のHDD/SSDを取り出してしまえば、簡単にデータを見ることができてしまいます。
また、ログインパスワードも、ツールを使えば比較的簡単に突破されてしまいます。
しかしこの「BitLocker」はPCのチップセットと一体になっている為、紛失盗難で仮にHDD/SSDが取り出されてもデータの復旧が不可。
更にPWの解読も技術上困難という、データの安全性確保に欠かせない機能となっています。
そのため、OSは「Windows11 Pro」を選択することが無難と言えます。
CPUはCore i5以上
CPU(Central Processing Unit)は中央演算処理装置とも呼ばれ、PCの「頭脳」に相当する部品です。
専門的な部分は割愛しますが、一般的に販売されているCPUメーカーとしては「intel」「AMD」の2社があり、それぞれが発売しているラインナップとしては下記のようなものがあります。
- Core i7, Core i9:Intelのハイエンドモデル
- Core i5:Intelのミドルエンドモデル
- Core i3:Intelのロー/ミドルエンドモデル
- Pentium, Celeron:Intelのローエンドモデル
- Ryzen:AMDのハイエンド/ミドルエンドモデル
- Athlon:AMDのローエンドモデル
IntelのPentiumやCeleron、AMDのAthlonなども一般的に販売されていますが、少し負荷の高い作業(例.Zoomで会話しながら他の作業を並行で行う、等)の場合は不安が残ります。
厳密に言うと、Core iXシリーズの中でも世代によって性能差があったりするのですが、ざっくりとした目安としては「Core i5」を選択すれば間違いはない、と判断して良いかと思います。
メモリは8GB以上
前述のCPUがPCの頭脳であれば、メモリは「作業机」に相当します。
人間で考えると分かりやすいですが、いくらハイパフォーマンスな人(=CPU)でも、狭い作業机ではパフォーマンスは上がりません。
CPUの性能を発揮するためには、ある程度のメモリ容量が必要になります。
Windows11を利用するのに最低限必要なメモリは4GBですが、動画の再生やWeb会議をしながら作業するのであれば「8GB」程度を見ておけば、一般的な操作や業務をするには支障ないでしょう。
※さらに快適に作業をしたい、マルチタスクで作業をすることが多い、などの場合は16GBがおすすめです
ストレージはSSD・512GB以上
ストレージは「作業場」に相当します。
各種データを保管しておく場所、とイメージしておいてください。
作業場が狭いと、道具を作業机の上にも置いておかなければならず、やはり作業の妨げになってしまいます。
そういう意味で、ストレージもある程度の大きさを確保しておきましょう。
ストレージには「HDD」「SSD」の2種類がある
ストレージには主に2つ種類があります。
- HDD(ハード・ディスク・ドライブ):円盤状の記憶媒体(ディスク)にデータを書き込む
- SSD(ソリッド・ステート・ドライブ):内蔵のメモリーチップにデータを書き込む
これから購入する場合は「SSD」が絶対おススメ
HDDは昔から使われてきましたが、これからPCを選ぶ際には、SSDが絶対おすすめです。
- 衝撃による故障リスクが低い
- 読み書きの速度が非常に速い
- 動作音が静か
- サイズが小さく軽い
以前はSSDはHDDに比べ、容量が少ない・価格が高いなどのデメリットがありましたが、最近は大容量化と価格低下も進んできました。
特に読書きの速度は、明らかにHDDよりも早いことが体感でも分かります。
PCの起動速度などにも影響してくるため、PCを選ぶ際にはSSDを選択しましょう。
サイズは13.3インチがおススメ
PCのディスプレイサイズとしては、「13.3インチ」が最もおススメです。
13.3インチは、持ち運びするモバイルPCとして最も標準的なサイズとなります。
起業家・フリーランスとしてお仕事をする場合、外出して仕事をしたり、打合せをする機会も多くなるはず。
または、今は在宅やオフィスの中だけでPCを使用する想定でも、将来的に外で利用する機会が出てくるかもしれません。
そんなときにも対応できるよう、あらかじめ持ち運びを考慮したサイズを選ぶと良いでしょう。
重さは1kg以下がおススメ
PCの重さも、持ち運ぶ際には重要なポイントです。
一般的に、「1kg」が持ち運べる基準値となり、1kg未満だと持ち運びの負担が大分軽減されます。
こちらも持ち運びを考慮して、1kgを下回る重さを選んだ方がベターと言えます。
PC選びは「バランス」が大切
PCを選ぶ際には、各構成要素のバランスが大切です。
例えば、Core i7のハイスペックなCPUを搭載していても、メモリが少なければその性能を十分に活かせません。
(家電量販店で売られているPCであれば、そのあたりのバランスも考慮されているのであまり心配は要りませんが。)
また、コストパフォーマンスの面からも、自身の業務にあったスペックのPCを選ぶことが重要です。
その点では、一部業務(例.動画作成など)を除き、一般的なインターネットやオフィスソフトを利用した業務であれば、本記事に掲載のスペックで十分快適に業務ができるはずです。
おすすめPC例
基本的には、前述のスペックであれば家電量販店などで購入することになるかと思います。
あとは「できるだけ経費を抑えたい!」という場合には、中古PCも検討しても良いかもしれません。
最近は、中古PCといってもAmazonや中古PC取扱店舗が綺麗にクリーニングした状態で販売していますので、費用を抑えたい場合はメリットがあります。
一例として、Amazonでは以下のようなPCが10万円以下で購入することができます。
【整備済み品】 レノボ ノートパソコン Lenovo ThinkPad T480S /第8世代Core i7 8550U Windows 11/メモリ8GB+SSD 512GB
【整備済み品】 Dell デル Latitude 5300 第8世代 i7 ノートパソコン 13.3インチ Core i7-8665U メモリ16GB SSD512GB
【SIMフリー】富士通 ノートパソコン LIFEBOOK U9413/NX Windows11 Pro Corei7-1370P 16GB 暗号化機能付SSD 512GB
フリーランスにおけるPCの値段と経費の関係
10万円を超えるPCは減価償却が必要
フリーランスなどの自営業者が10万円を超えるPCを購入したときは、その年の経費として計上することはできません。複数年で経費として計上する、減価償却を行う必要があります。
減価償却とは高価な物品の価値が年月とともに減少していくことを指し、税務上では物品の費用を数年間に分割して経費計上することをいいます。
つまり、1年の経費として計上するのではなく、複数年の経費として計上するのです。
一般的なパソコンの耐用年数は4年のため、4年間に分けて減価償却をすることになります。
例えば、12万円のPCを購入した場合、3万円×4年間に分けて経費として計上することになります。
これが基本的な対応です。
20万円未満なら一括償却資産処理が可能
10万円を超えるPCを購入したときは、減価償却を行う必要があり、基本的には4年間にわたって分割して経費として計上しなくてはなりません。
しかし、10万円以上20万円未満のPCであれば、一括償却資産処理という方法を用いて減価償却せず3年に分割して経費計上することが可能です。
本来であれば耐用年数に合わせて月割りをする必要がありますが、それも不要です。PCの購入代金の3分の1ずつを3年にわたって毎年経費にできます。
一括償却資産処理によって4年かかる減価償却を3年で済ませられるため、1年あたりの経費を増やし、所得税の負担を軽減することが可能になる処理方法です。
青色申告なら30万円未満まで経費にできる
フリーランスが青色申告を行っている場合、30万円未満のPCであれば、購入年度に全額を経費として計上できる特別なルールが適用されます。
つまり、30万円未満のパソコンであれば、減価償却を行う必要がないわけです。
青色申告とは、より詳細な帳簿をつけることで税金の特典を受けられる制度のことをいいます。青色申告をすることで、所得控除をはじめ、さまざまな税金の負担軽減が可能になります。高額な経費が発生するフリーランスや自営業者にとって、青色申告は大きなメリットになるでしょう。
青色申告については、以下の記事で詳しく解説しています。
おわりに
PCはどのような事業をするにも必須。
それだけに、PCのスペックが事業の効率化に直接関係してくる、と言っても過言ではありません。
かといって、オーバースペックなパソコンを選んで費用がかさみ、事業に影響を与えてしまうようでは本末転倒です。
これから起業・フリーランス・個人事業主としてスタートアップをお考えの皆さまは、参考にしてみてくださいね。