こんにちは。

行政書士×ITストラテジストのnaoです。

近年、「DX」という言葉もすっかり定着してきました。

ITの活用はもはや大企業だけのものではなく、個人から中小企業まで、規模を問わずに利用できる様々なサービスも充実してきています。

本記事では、DXに興味はあるけれども自社では難しいと考えている経営者、DXを進めたいけれどもどうやったらよいか悩んでいる中小企業の皆さまへ、DXの進め方について分かりやすく解説いたします。

ITの活用は「当たり前」の時代

例えば、今の大学生はまさにデジタルネイティブ。

生まれたときからインターネットがあり、大学生である今は分からないことはChatGPTで調べ、Youtubeで効率的なノウハウを知り、チャットツールや共有カレンダーでコミュニケーションを取っています。

そんな大学生が就活の際に、「スケジュール共有はホワイトボード、日報は紙、稟議決裁は押印リレーが必要」という環境を選択するでしょうか?

ITはもはや「あって当然のインフラ」であり、ITの利活用が進んでいない環境は、周囲の企業から一歩遅れた地点からのスタートとなってしまいます。

もし今、ITを活用できていないと感じているのであれば、喫緊の課題として取り組むべき、とさえいうことができるかもしれません。

IT活用から「DX」へ

では、GmailやSlack、会計ソフトに基幹システムを使っていれば、DXは達成できているといえるでしょうか?

そもそもIT化とDXって何か違いがあるの?と疑問に思う方もいるかもしれません。

何となく、世間的にDXが叫ばれていて、うちの会社でもDX必要かなぁ、と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

しかし一方で、「DXって具体的に何をすればいいの?」「うちみたいな会社でもできるの?」と、疑問や不安を感じている方も多いと思います。

そこで今回は、経済産業省が推進する「DX認定制度」をとっかかりとして、中小企業の皆様にぜひ知っていただきたいポイントを解説します。

この制度を理解することで、DXへの第一歩を踏み出すヒントが見つかるはずです!

1.そもそも「DX」って何?中小企業にとってのDXの重要性

まず、「DX」とは何か、改めて確認しておきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単にITツールを導入することではありません。

DXはデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデル、そして組織や企業文化そのものを変革し、競争上の優位性を確立することを指します。

中小企業にとってのDXは、以下のようなメリットをもたらします。

  • 業務効率化と生産性向上
    例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入による定型業務の自動化や、クラウドツールを活用した情報共有の円滑化など。
  • 新たな価値創造と顧客体験の向上
    顧客データ分析によるパーソナライズされたサービス提供や、オンラインでの新たな販路開拓など。
  • 市場変化への迅速な対応力
    データに基づいた意思決定により、スピーディーな経営判断が可能に。
  • 人材不足の解消と優秀な人材の確保
    DX推進により、魅力的な職場環境を構築し、採用競争力を高めることができます。

「DXなんて、うちの会社には関係ない」と思っていませんか?

もはや今は、DXに取り組まないことの方が将来的なリスクになりかねない、という時代に突入してきているのです。

DXとIT化の違いとは?

DXとIT化の違いについては、様々な媒体で解説されているので、本記事で深く掘り下げることはしませんが、一般的な定義としては「IT化は既存の業務効率化を目的とする一方、DXはビジネスモデルや組織全体の変革を目指す」というものになります。

ここでは、飲食店の店先に出す立て看板を例に、それぞれの解説してみたいと思います。

ざっくり、それぞれの違いがイメージできれば幸いです。

Step1.「IT化前」
「店員さんが毎朝5分~10分程度かけて、その日のメニューやコメントを看板に記入する」

Step2.「IT化後」
「デジタルサイネージ(ディスプレイ)を使い、週ごと、時間帯ごとに所定の内容を自動表示する」
※期待する効果:業務効率化、省力化

Step3.「DX化後」
「カメラ付きのデジタルサイネージで、通行者の属性に合ったメニューを表示する。同時に通行客の数、性別、時間/曜日/天気ごとの属性を収集し、マーケティング戦略立案のデータとする」
※期待する効果:売上増、データドリブンな商品開発、マーケティング、ビジネスモデルの検討

2.経済産業省「DX認定制度」とは?

「DXは重要だと分かったけれど、何から手をつければいいか分からない…」

そんな中小企業の皆様の声に応えるのが、経済産業省が推進する「DX認定制度」です。

これは、企業がデジタル技術による社会変革を踏まえ、経営戦略を策定し、その戦略に基づきDXを推進する準備が整っている状態(DX-Ready)であることを、国が認定する制度です。

「私たちはDXに真剣に取り組む準備ができています!」と国にお墨付きをもらうようなイメージです。

この認定を受けることで、対外的にも「先進的な取り組みをしている企業」としてアピールでき、様々なメリットを享受できます。

よく勘違いされるのですが、DX認定はあくまで「DXに取り組む準備ができている」企業に対する認定です。

「DXができている」企業に対するものではないので、「ウチはまだそんなレベルじゃないからなぁ」と二の足を踏む必要はありません。

nao

安心して、DX認定の取得にチャレンジしよう!

参考)経済産業省|DX認定制度
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html

3.DX認定のメリットとは?中小企業にとっての魅力

では、具体的にDX認定を受けると、中小企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 対外的な信頼性・企業イメージの向上
    • 国から「DXを推進する準備ができています」と認められることで、取引先や金融機関、顧客からの信頼度が格段にアップします。
    • 企業のWebサイトや名刺に「DX認定取得企業」と表示することで、競合他社との差別化を図ることができます。
  • 優秀な人材の確保
    • DXに意欲的に取り組む企業として認知されることで、デジタル人材や若手人材からの応募が増える可能性があります。
    • 従業員のモチベーション向上にも繋がり、定着率アップも期待できます。
  • 資金調達における優遇措置の可能性
    • 一部の金融機関では、DX認定企業に対する融資条件の優遇や、補助金・助成金の申請において有利になるケースがあります。
    • 例えば、日本政策金融公庫の「DX推進資金」など、認定企業向けの制度も存在します。
  • パートナーシップの機会拡大
    • DX推進に意欲的な企業として注目され、新たなビジネスパートナーとの連携や共同開発の機会が生まれる可能性があります。
  • 社内体制の強化とDX推進の加速
    • 認定取得に向けた準備プロセスを通じて、自社のDX戦略やビジョンを明確化し、社内体制を整備することができます。
    • 認定取得自体が、社内のDX推進への意識を高めるきっかけとなります。

冒頭でも述べた通り、今やITの活用は必須、「当たり前」の世の中です。

自社だけで見れば、「ウチは別にITなんて使わなくてもやっていけるんだよ」という社長もいらっしゃるかもしれませんが、優秀な人材や取引先、銀行などの外部から見ると、ITを利用していないのは「リスク」と見られる時代です。

逆に、DXに対して前向きな取り組みをしているということが、国からの「認定」という形で目に見えると、対外的な信頼性、ひいては競争力の強化につながります。

4.DX認定を受けるには?必要なステップと準備

「DX認定、取得してみたい!」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、具体的にどのようなステップで認定を目指すのか、概要を見ていきましょう。

  • DX推進の準備状況に関する自己診断
    • まずは、IPA(情報処理推進機構)のウェブサイトで提供されている「DX推進指標」を活用し、自社のDX推進状況を自己診断します。これにより、現状の課題や強みを把握することができます。 https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html
  • DX推進に関するビジョン・戦略の策定
    • 自社の経営戦略と紐付けながら、どのような目的でDXを進めるのか、どのような姿を目指すのか、具体的なビジョンと戦略を策定します。
  • DX推進のための体制構築
    • DXを推進する責任者(CDOなど)の任命や、推進体制の構築、従業員への周知・啓発などを行います。
  • 申請書の作成・提出
    • 上記の準備が整ったら、必要な書類を揃え、デジタル庁が運営する「gBizINFO(ジービズインフォ)」を通じて申請を行います。
  • 審査・認定
    • 提出された申請内容がDX推進ガイドラインに沿っているか、審査が行われます。審査に通れば、晴れてDX認定企業となります。

まとめ|DX認定はゴールではない、始まりである!

繰り返しになりますが、DX認定はあくまでも「DXを推進する準備が整った」というスタートラインに立ったことを意味します。

認定取得後も、継続的にデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織を変革していく努力が不可欠です。

しかし、この認定制度を活用することで、漠然としたDXへの取り組みに明確な目標ができ、社内外へのアピールにも繋がります。

変化の激しい現代において、中小企業が持続的に成長していくためには、DXは避けて通れない道です。

経済産業省の「DX認定制度」は、その第一歩を踏み出すための強力な後押しとなります。

もし、「DXって何から始めればいいの?」「DX認定に興味があるけれど、自社で進めるのは難しい…」と感じている中小企業の経営者様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

ITストラテジストとして、貴社のビジネスに最適なDX戦略をご提案し、行政書士として、DX認定の申請から取得までをきめ細やかにサポートさせていただきます。

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