事業計画書とは?
事業計画書とは、事業を運営するにあたりアイディアを考えてから実行、運営するまでを考える計画書のことを指します。
こんなビジネスをしたい!と思いついた事業構想があるとして、それが本当にビジネスとして実現できるのか、継続して事業として営めるかどうかを計画するのが事業計画書です。
事業計画書の作成目的
事業を運営するために必要なアクションを明確にする
事業を運営するためには、様々なやることがあります。
例えば起業しようとした場合、ほんの一例として以下のようなことを考える必要があります。
- どんな事業内容で起業するか?
- 本当にその製品/サービスは売れるのか?
- どれくらいの収支が見込めるのか?
- 起業に必要なリソースは何がある?調達に幾らかかる?
- 起業の手続きは何が必要?どこに何を手続きすればよい? etc
上記のとおり、事業を行うにあたり、やらなければいけないことはたくさんあります。
細かい話で言うと、会社勤めであったら会社が支給してくれた名刺ひとつとっても、自分がやるとなると「記載内容を考える」「デザイン・フォントを考える」「印刷会社を選ぶ」「発注する」「校正する」etc と様々なタスクが発生します。
それらを必要に迫られてから行っていたのでは、順調な事業運営など到底望めません。
起業の段階で、あるいは事業を見直すタイミングなどで、何を、どの順番で、どのようにやっていけばいいのかを明確にするのが事業計画書作成の目的のひとつです。
関係者に計画を伝えサポートを得るための根拠資料
事業計画書は、自社内部で利用するだけではありません。
事業を運営するにあたっては、社内外問わず様々な人の協力を得る必要があります。
会社で新規事業をしようと考えた場合は、自分のチームや上司、社長かもしれません。
あるいは、社外の協力会社も必要かもしれません。
例えひとりで起業する場合でも、融資してもらう銀行あるいは取引先へ説明して、協力してもらう必要があります。
その際、ただ夢や目標を語るだけではサポートを得るのは難しいでしょう。
- このような事業を行う計画を立てている
- 市場にはこういうニーズがあり、それに応える今までにないサービスなので充分な収入が見込める
- 今後三年間の収支予想はこのようになっている
- このような運営体制を考えている
など、関係者に納得してもらってサポートをしてもらえる納得感のある計画が必要であり、その計画の根拠となるのが事業計画書なのです。
事業開始後の基準となる計画の作成
事業計画書の活用は事業開始前だけではありません。
事業をスタートした後も、順調かそうでないかというその事業の羅針盤となる資料なのです。
例えば事業計画で3年間の収支予想を立てたとして、1年後の収支状況を確認し、その数値が予想通りなのか、それとも予想より悪いのか。悪いのであればどのような原因で、それを修正するためにはどのようなアクションが必要か、など、PDCAサイクルをしっかり回すための基準となるのが事業計画書の役割のひとつと言えます。
事業計画書作成のポイント
一貫性、整合性を維持する
事業計画書では「一貫したストーリー性」が重要となります。
例えば、会社のミッションとして「女性の活躍」を掲げて女性向けエンジニア派遣を事業として行おうとしたときに、その実現方法が「極力賃金を抑えて収益を出す」では、誰も協力してくれないでしょう。
事業のスタートからゴールまでの道のりに整合性が感じられるよう、以下のようなストーリーを描く必要があります。
- 会社のミッション、ビジョンはなにか?
- どのような経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が必要で、どのように事業を成り立たせるか?
- 他社との違い・独自性はなにか?
- どのように事業展開し、どの程度の業績を実現するのか?
具体的かつ網羅的に書く
上記のようなストーリーが関係者間に伝わりやすいよう、事業計画書の内容は具体的かつ検討すべき項目を網羅している必要があります。
事業計画書についてはインターネット上にもたくさんのフォーマットがあるので、ある程度はフォーマット準拠で記載する(=検討する)項目はカバーできますが、例えば収支計画、市場規模、スケジュールなど、極力定量的かつ具体的に検討し事業計画書に落とし込むことが重要となってきます。
わかりやすく書く
事業計画書は具体的であると同時に分かりやすいものでなければなりません。
例えばブロックチェーンを活用した事業を展開するにあたり、ブロックチェーンの技術的な用語を列挙するのは得策ではありません。
銀行に融資を申し込む際に事業計画書を元に説明する場合など、相手がIT分野の専門家でない場合も多々あります。
その点で「具体性」と「分かりやすさ」は事業計画書の両輪と言えます。
まずは一通り作成し、何度も推敲する
事業計画書作成にあたっては「まずはざっくりと最後までつくってみる」ことがポイントです。
最初は市場のニーズの調査方法が分からなかったり、詳しい収支計画が立てられなかったりなどあるでしょう。
その場合も、そこで立ち止まるのではなく一旦は検討項目それぞれについて網羅的に検討し、あとで追加検討が必要な部分について肉付けしていく、という方法が有効な場合が多いようです。
システム開発で言う、ウォーターフォールではなくアジャイル開発のイメージですね。
事業計画書に記載する項目
事業計画書には、上記含め経営者の経歴、事業の目標、事業内容、実行計画など、事業の全容がわかるような項目を記載します。
一例としては下記のような項目を記載することとなります。
Ⅰ.事業概要
1.経営者の経歴等
2.起業の動機
3.ビジョン・目標
Ⅱ.事業内容
1.事業コンセプト
2.現状分析等
3.販売・仕入計画
4.実施体制・人員計画
Ⅲ.数値計画
1.投資・調達計画
2.損益計画
Ⅳ・実行計画
1.今期の経営スローガン
2.今期の重点方針・重点具体策
3.今期の重点具体策とアクションプラン(誰が、何を、いつまでに、基準)
事業計画書の書き方・作成方法の詳細
事業計画書は事業の設計図そのものなので、1日で出来上がるようなものではありません。
何度も見直しして、ブラッシュアップしていただければと思います。
以下では、事業計画書の考え方から書き方まで、記事にまとめていますのでご参照ください。
https://tri-support.com/archives/category/company/strategy
事業計画書作成に役立つフレームワーク
事業コンセプトの作成や、やろうとしている事業を取り巻く現状分析等、事業計画書の作成のためにはフレームワークの利用が有効です。
事業計画書の作成に役立つフレームワークについては、下記を参照ください。
https://tri-support.com/archives/category/small-business/management
参考リンク
事業計画書のサンプルとして、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」が参考になります。
中小企業向けにお役立ち情報が掲載されているので、起業前~起業後も参考になるサイトです。
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/index.html