社会保険とその他手続きの詳細について
会社員から個人事業主として独立しようとする場合、開業届のほかに社会保険の切替手続きが必要となります。
本記事では、個人事業主になる際の社会保険およびその他手続きについて解説します。
社会保険の手続き
会社員から個人事業主になる際に、必要となる主な社会保険の手続きとしては以下の通りです。
国民年金への加入
- 国民年金の概要
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入することになっています。国民年金には以下の3種類があります。- 第1号被保険者
自営業者、農業や漁業に従事している人。国民年金の保険料を自分で納める。 - 第2号被保険者
会社などに勤め、厚生年金保険や共済組合に加入している人。会社が加入者に代わって国民年金を負担・支払をする。 - 第3号被保険者
厚生年金や共済組合に加入している方によって扶養されている配偶者の人。扶養している配偶者が所属している会社が国民年金を負担・支払をする。
- 第1号被保険者
- 個人事業主と年金
個人事業主は第1号被保険者となります。そのため、会社員の場合は会社が年金を支払っていますが、個人事業主になると自分で国民年金保険料を納める必要があります。 - 手続き方法
年金事務所で手続きを行い、毎月口座から引き落とされる「口座振替」が一般的です。 - 保険料
保険料は1カ月あたり16,980円です。詳細は日本年金機構の情報をご確認ください。https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
国民健康保険への加入
- 国民健康保険の概要
国民健康保険制度は、医療保険制度であり、都道府県及び市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されます。
会社員の場合は健康保険組合に加入していますが、個人事業主になると市区町村の国民健康保険に加入する必要があります。 - 手続き方法
加入の手続きは、お住まいの市区町村の役所で行います。 - 保険料
保険料額は、収入や家族構成によって変わります。
雇用保険の脱退
- 雇用保険の概要
雇用保険は、失業者の生活保障や雇用促進を目的とした公的保険のひとつです。
失業等給付や育児休業給付など、労働者が失業や休業した時にも安心して生活できるようにさまざまな給付金がありますが、これらは雇用保険に基づいた制度になります。 - 雇用保険の対象者
法人の取締役や個人事業主は今日保険の対象外となります。なので、会社員を退職すると、雇用保険の被保険者資格が喪失します。 - 手続き方法
ハローワークで手続きを行い、被保険者証を返却します。
その他の手続き
会社員から個人事業主になる場合、他にも以下のような手続きが必要となってきます。
- 銀行口座の開設
- 事業用の銀行口座を開設することで、事業の資金と私用のお金を分けることができます。
- 事業用口座がないと、事業用の資金と私用のお金の区別が難しくなり、資金繰りを正確に把握できなくなったり、帳簿付けの手間が増えたりなどのデメリットが発生します。
事業用口座は作成するようにしましょう。
- 確定申告の準備
- 個人事業主は、1月1日から12月31日までの1年間の所得について、翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。
- 確定申告では、収入と経費を正確に計算し、納税額を確定します。
- 経理の準備
- 収入と支出を正確に記録し、経理処理を行う必要があります。
- 節税にもなる青色申告を利用するためには複式簿記の方式で帳簿をつける必要があります。オンラインの経理ソフトを活用すると良いでしょう。
確定申告やオンライン経理ソフトについては、下記もご参照ください。
- 各種保険への加入
その他、事業を行う上で役に立つ保険もあるので、必要に応じて検討しましょう。- 事業主賠償責任保険
事業活動中に第三者に損害を与えた場合や、設備が破損した場合、休業した場合など、様々な場面に備える保険です。
個人事業主向けの色々な保険商品があるので、自分に合った保険を選びましょう。
- 事業主賠償責任保険
おわりに
本記事では、会社員から個人事業主になる場合の一般的な手続きについて解説しました。
ただし、上記以外にも、事業内容や地域によって必要な手続きが異なる場合がありますので、行政機関や税理士・行政書士などの専門家に相談することをおススメします。
本記事が、起業志望者の不安や疑問を解消し、開業の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。