はじめに

中小企業や個人事業主などのスモールビジネスにおいては、規模が大きくなるにつれて業務の分化が進んでいきます。

最初は営業や事務が電話や問合せ対応をしていたところが、顧客数が増えるにしたがって業務負荷か高くなり、専用の問合せ窓口を設置したい、と考えることも多いでしょう。

この記事では、特に中小企業や個人事業主などのスモールビジネス向けに、問合せ窓口の構築ポイントについて詳しく解説します。

問合せ窓口の種類を知ろう

構築の前に、まずは問合せ窓口の種類について知っておきましょう。

問合せ窓口、相談窓口、カスタマーサポートなど、企業の問合せ窓口の名称は様々です。

一般的に、顧客対応とサポートを提供する窓口については、アプローチ方法と機能によりコールセンター、サービスデスク、ヘルプデスクの3つに分類されます。

コールセンター

コールセンターは、主に電話による顧客対応に特化しています。

顧客からの問い合わせやリクエストに電話で応答し、問題解決や情報提供を行います。

一般的に、大規模な顧客基盤を持つ企業や組織が利用します。

主な役割は電話での応対であり、顧客からの通話を管理し、適切な部門や担当者に転送することがあります。

サービスデスク

サービスデスクは、IT関連の問題やサポートを提供するために設立されることが多いですが、他の部門にも存在することがあります。

主にテクニカルサポートと関連する問題に特化しており、電話以外にも電子メール、チャット、オンラインフォームなどのさまざまなコミュニケーションチャネルを提供することがあります。

ITサービスデスクは、トラブルシューティング、システムの問題解決、ソフトウェアのインストール、ユーザーアカウントの管理などを行います。

ヘルプデスク

ヘルプデスクは、一般的に製品やサービスに関連する一般的な問い合わせやサポートを提供することを目的としています。

これは、ITに限らず、商品やサービス全般に関する質問や問題に対応します。

ヘルプデスクは電話、電子メール、チャット、ウェブポータルなどさまざまなコミュニケーション手段を提供することが一般的で、顧客の問題を解決し、情報提供を行います。

主な焦点は、顧客満足度の向上問題解決の効率性です。

顧客とのやり取りをする窓口においては、それぞれ異なる専門領域とカスタマーサポートの範囲を持ち、顧客とのコミュニケーションにおいても異なる手段とアプローチを提供しています。

本記事については、呼称を「問合せ窓口」に統一して、中小企業や個人事業主などのスモールビジネス向けに、問合せ窓口の構築ステップを解説していきます。

問合せ窓口構築に必要な準備項目

問合わせ窓口の物理面の準備事項

オフィススペースの確保

問合せ窓口の設置にあたっては、オフィススペースを確保する必要があります。

このスペースは問合せ窓口のスタッフが作業し、顧客とコミュニケーションを取る場所です。

十分な広さと快適な作業環境を提供し、作業効率を向上させることが重要です。

また、電話などのやり取りがストレスなくできるよう、静かな環境を確保することも必要です。

必要なデスク、椅子、コンピューターなどの購入

スタッフが快適に作業できるように、適切なデスク、椅子、コンピューターなどのオフィス家具や設備を調達する必要があります。

また問い合わせ対応がスムーズにできるよう、最低限ストレスなく動作する程度のパフォーマンスを備えたPCを選びましょう。

※PCの選定については以下の記事もご参照ください

電話機、ヘッドセットなどの通信機器の準備

問合せ窓口の主要なコミュニケーション手段である電話に必要な機器を用意します。

利用する電話環境にもよりますが、IP電話を利用する場合は、IP電話対応の電話機が必要となります。また、ヘッドセットがあると、問い合わせ対応をしながらPCで対応履歴を検索するなど効率の良い対応が可能です。

問合せの内容が複雑になりがちであったり、あるいは問い合わせのトラブルを防止したい場合は音声録音装置なども検討すると良いでしょう。

※電話環境の準備については下記もご参照ください

問合せ窓口の体制面の準備事項

問合せ窓口スタッフの採用と研修計画の立案

適切なスキルと顧客サービス向上の意識を持つスタッフを採用することが重要です。

また、スタッフの研修プログラムを設計し、サービス品質を保つためのトレーニングを提供します。

あるいは、新規に採用するのではなく、既存のメンバに対応してもらう場合もあるでしょう。

その場合も、会社としてのトークスクリプトや運用のルールを定めておきましょう。

スケジュール管理システムの導入

スタッフの効率的なスケジュール管理をサポートするため、必要に応じてスケジュール管理ソフトウェアを導入します。

これにより、適切な人員配置とシフト管理が可能になります。

コミュニケーションツールの準備

スタッフ間のコミュニケーションを促進するため、メール、チャット、ビデオ会議などのコミュニケーションツールを導入します。

これにより、情報共有とチーム協力が円滑に行えます。

管理体制の検討

日々の受付業務だけであれば、パートやアルバイトだけで業務を回せるかもしれませんが、より戦略的に運営するためには、管理者を配置して問い合わせの傾向分析や運用改善を図る必要があります。

日々のPDCAサイクルをきっちりと回して、問合せ窓口を成長させることができる管理体制を検討しましょう。

問合せ窓口のオペレーション面の準備事項

顧客データベースの構築と管理システムの導入

顧客情報や問い合わせ履歴を効果的に管理するために、顧客データベースと統合された管理システムの構築・導入は必須項目と言えます。

これにより、迅速な顧客対応個別対応が可能になります。

それにより、顧客満足度向上顧客ロイヤリティの向上へと繋げていく事が重要です。

ごく小規模であれば、Excelなどでの管理から始めても良いですが、やり取りの履歴も管理していくと専用のサービスを入れたほうが良いでしょう。

無料のクラウドサービスもありますので、検討してみてください。

FAQやテンプレートの作成

よくある質問(FAQ)や問い合わせのテンプレートを作成し、スタッフが効率的に対応できるようにします。

これにより、繁忙時でも一貫性のあるサポートを提供できます。

エスカレーションプロセスの確立

問合わせ窓口だけでは解決できない問題が発生した場合、別の担当やより専門知識を持つスタッフに担当してもらうことをエスカレーションといいます。

迅速に対応できるようにするためには、事前にエスカレーションルートを定めておき、関係部署一丸となって対応できるよう、社内で体制を決めておく必要があります。

問合わせ窓口は顧客接点の最前線

近年は、問合わせ窓口の重要性は年々高まってきています

製品やサービスでの差別化が難しくなっている現代においては、問合わせ窓口の応対品質によって顧客が企業に抱く印象が変化し、顧客満足度顧客ロイヤリティの向上に寄与する可能性があります。

また、問合わせ窓口は顧客接点の最前線であり、顧客の生の声を収集できる重要なポジションです。

そこで収集した顧客の声を事業展開や製品、サービスに活かし、売上向上に繋げられる可能性もあります。

本記事をご参考に、問合わせ窓口の戦略的な構築、活用を検討してみてくださいね。