1. 個人事業とは? メリットとデメリット

個人事業とは、会社を設立せずに、個人として事業を始める形態です。

会社設立と比べて手続きが簡便で、開業資金も抑えられるというメリットがあります。

一方で、所得税や社会保険料などは個人で負担することになり、事業の責任も全て自分自身で負うことになります。

2.個人事業主と株式会社との違い

法人として一番数が多いのは株式会社ですが、個人事業主と株式会社とでは以下のような違いがあります。

  • 手続きの違い(設立・変更・廃止)
    • 個人事業主は手続きが簡単
    • 株式会社は多くの法的な手続きが必要となる
  • 税金負担の違い
    • 所得が低いうちは個人事業主が有利
    • 一定の所得を超えると株式会社の方が有利(概ね700万~1000万が目安)
  • 社会的信用度の違い
    • 法人の方が社会的信用度は高い。個人事業主との取引はNGの会社も多い

個人事業とするか法人(株式会社)とするかは、どのような事業を、どのような規模で展開するかを勘案して決めると良いでしょう。

3. 開業前に準備すること

事業をいち早く軌道に乗せるためには、起業前からの準備が肝心です。

起業前後ではやるべきことが多く、かつ普段は馴染みのない手続きであることが多いため、本業以外の部分で時間を取られがちになってしまいます。

起業にあたって、どのようなことが必要になるのかを事前にしっかり調べて、準備しておきましょう。

  • 事業計画の作成
    どのような事業を行うのか、具体的な目標や売上計画などを明確にしておくことが重要です。 業種や規模によらず、事業計画書を作成してしっかりと計画を立てておくことはマストとなります。
    事業計画については、下記もご参照ください。
    https://tri-support.com/archives/category/company/strategy
  • 資金調達
    事業計画の一環として、資金計画はもっとも重要な事項の一つです。自己資金が潤沢にあれば別ですが、事業に必要な資金をどのように調達するのかを検討する必要があります。自己資金の他に、融資や補助金の活用なども考えられます。
  • 開業届の提出
    管轄の税務署に開業届を提出する必要があります。この税務署に対する開業届をもって、個人事業主を名乗ることができる、と言っても良いでしょう。
  • 許認可の取得
    事業内容によっては、許認可が必要になる場合があります。例えば一般的な飲食業であれば、保健所から飲食店営業許可証を取得する必要があります。
    また午前0~6時に営業する場合や居酒屋やバーなど主に酒類を提供する飲食店の場合は、飲食店営業許可に加えて、「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を警察署に対して申請する必要があります。
    許認可については業態によって細分化されているので、詳しく調べる必要があります。
  • 社会保険への加入
    会社を辞めて個人事業主として開業する場合、国民健康保険や国民年金への加入手続きが必要です(株式会社の場合は健康保険および厚生年金)。 会社員の場合は、会社が保険額を半額負担してくれていましたが、個人事業主の場合は自身で賄わなければなりません。

4. 青色申告と白色申告

個人事業主の場合、自身で1年間の所得に対する納税額を計算して申告し、納税しなければいけません。これを確定申告と言いますが、個人事業主には確定申告の方法として青色申告と白色申告の2種類があります。

  • 青色申告
    事業で発生した経費を計上することができ、節税効果が期待できます。ただし、帳簿付けなどの事務作業が増えます。
  • 白色申告
    経費を計上することができず、青色申告よりも課税される所得が多くなります。

事務作業が面倒だからと白色申告にする人もいますが、節税効果を考慮すると青色申告の方がおすすめです。

青色申告・税金については、以下にて詳しく解説しています。

5. 経理・会計

個人事業主の場合は、自分で経理・会計を行う必要があります。仕事で経理などをやっていない限り、この経理・会計に苦戦する人も多いでしょう。 しかし、経理・会計は会社の財政状況を把握するために必要不可欠です。個人事業主あるいは社長として事業を営むトップである以上、「経理はよく分からないんだよね~」では通用しません。

経理・会計を把握するために複式簿記などの知識が必要となりますが、会計ソフトなどを活用することで、比較的簡単に記帳を行うことができます。また、税務署や商工会議所などで、記帳に関する相談を受けられる場合もあります。

開業前の段階から、経理・会計に関する勉強はしておきましょう。

6.まとめ

このブログ記事は、個人事業主としての開業を検討している方に向けて、「キホンのキ」となる基礎的な知識をわかりやすく解説しました。

それぞれの項目については、別記事にて詳しく解説していきますので、そちらもご参照ください。

個人事業主として開業することは、大きな責任を伴いますが、同時に大きなやりがいも感じられるものです。開業前にしっかりと準備をし、必要な知識を身につける一助となれば幸いです。