法人の大分類「営利法人」と「非営利法人」
起業を検討されている方の中には、「営利法人」と「非営利法人」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
なんとなく、起業=「株式会社の設立」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際にはその目的や事業内容によって、法人にはいろいろな種類があります。
営利法人と非営利法人も法人の大分類のひとつで、どちらも法人という形をとりますが、その目的や特徴は大きく異なります。
この記事では、これから起業を始める方に向けて、営利法人と非営利法人の違いを分かりやすく解説します。
営利法人とは?
営利法人は、その名の通り、営利を目的として設立される法人です。
株式会社が最も代表的な営利法人であり、利益を追求し、その利益を株主に配当したり、事業の拡大に充てたりします。
営利法人の特徴
- 目的: 利益の追求
- 構成員: 株主
- 利益の分配: 株主に配当
- 税金: 法人税、所得税など
- 例: 株式会社、合名会社、合資会社
営利法人を選ぶメリット
- 資金調達:株式を発行することで、大規模な資金調達が可能
- 事業拡大:利益を再投資することで、事業を拡大しやすい
- 責任の限定:株主の責任は出資額に限定される
営利法人を選ぶデメリット
- 設立手続き:比較的複雑な手続きが必要
- 情報公開:決算報告など、一定の情報公開が義務付けられている
- 株主との関係:株主との関係を維持する必要がある
非営利法人とは?
非営利法人は、営利を目的とせず、公益的な目的を達成するために設立される法人です。
NPO法人、一般社団法人、一般財団法などが代表的な非営利法人です。
非営利法人の特徴
- 目的:公益的な目的の達成
- 構成員: 会員、社員
- 利益の分配:構成員に分配せず、事業に再投資
- 税金:収益事業に関する税金など
- 例:NPO法人、一般社団法人、一般財団法人
非営利法人を選ぶメリット
- 社会貢献:社会貢献活動を行い、社会に貢献できる
- 税制上の優遇:一定の要件を満たせば、税制上の優遇措置を受けることができる
- 柔軟な運営:営利法人よりも柔軟な運営が可能
非営利法人を選ぶデメリット
- 資金調達:営利法人と比べて、資金調達が難しい
- 事業の制限:営利活動を制限される場合がある
営利法人と非営利法人の違いを比較
営利法人 | 非営利法人 | |
---|---|---|
目的 | 利益の追求 | 公益的な目的の達成 |
構成員 | 株主 | 会員、社員 |
利益の分配 | 株主に配当 | 事業に再投資 |
税金 | 法人税、所得税など | 収益事業に関する税金など |
例 | 株式会社、合名会社、合資会社 | NPO法人、一般社団法人、一般財団法人 |
営利法人と非営利法人、どちらを選ぶべきか?
営利法人と非営利法人の決定的な違いは、「利益を配当できるか」という点です。
利益の配当とは?
企業が得た利益の一部を、その企業の株式を持っている株主に分配することを「利益の配当」と言います。
例えば、あなたがある会社の株を100株持っているとします。
その会社が1株あたり100円の配当を出すと決めた場合、あなたは合計10,000円(100株×100円/株)の配当を受け取ることができます。
非営利法人は「利益をあげてはいけない」のではなく「利益の分配を目的としない」法人
よくある誤解が、「非営利法人は利益をあげてはいけないの?」という点です。
実際は、非営利法人が利益をあげること自体は問題はありません。
例えば、営利法人である株式会社では、利益を株主配当して分配することができますが、非営利法人では利益が出ても寄付者や法人の会員に分配することはできません。
しかし、非営利法人とはいえ人を雇用することはできますので、非営利法人の活動収益から経費として職員の給与を支払うことはできます。
どちらを選ぶべきかは、あなたの起業の目的や事業内容によって異なります。
例)目的別|営利/非営利の選択例
- 利益を追求したい場合:営利法人
- 社会貢献をしたい場合:非営利法人
- 柔軟な運営をしたい場合:非営利法人
- 大規模な資金調達をしたい場合:営利法人
まとめ
営利法人と非営利法人の違いについては以上となります。
通常、事業を行う場合は「株式会社」が大半です。
かといって、法人形態の違いを理解しないまま、何となく株式会社を選択すると、実はあなたの事業内容や目的としてはより合った起業や法人の形態あった、という事態にもなりかねません。
起業を検討されている方は、まずはご自身の目的を明確にし、それぞれの法人の特徴を比較検討することが大切です。