「小規模事業者持続化補助金」とは
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
所定の申請をすることにより、一定の補助率または補助上限額に沿った補助金が交付されます。
誰がもらえる?(交付対象者)
以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1.形態要件
法人、個人事業主、特定非営利活動法人であること
2.従業員数要件
常時使用する従業員が20人以下or5人以下
3.その他要件
① 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
② 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
③ 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること。
※「受領された」とは事務局から指摘のあった不備が解消した状態であることを指します。
④ 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと。
いくら貰える?(補助率・補助上限額)
補助金額については、係る事業に関する全額がもらえるわけではありません。
(=「少しは自分でお金を出す必要がある」ということ)
補助率は、下記ガイドブックを参照してください。
補助金申請の注意点
- 所定の申請をすることにより補助金が交付されるスキームですが、必ず交付されるわけではない(=審査に通る必要がある)という点には注意が必要です。
これまでの採択率は55%~60%台でしたが、直近は62.4% → 41.8% → 37.1%と、急激に採択率が難化しています。 - 審査の一番のポイントは「しっかりとした事業計画が立てられているか」です。
事業計画書については以下の記事も参照ください。
https://tri-support.com/archives/186 - 対象の取組み(販路開拓や生産性向上)の「後」に補助金が支払われる(一旦は自分で支払う必要がある。また費用の全額が補助されるわけではなく、一定の補助率・上限まで。)
→事業期間中に支払った経費のうち、補助対象となっている特定の経費について、事業終了後の確定検査を経て補助されます。
補助対象となる経費
補助金は「何にでも使っていい」というわけではなく、補助対象となる経費が決められています。
対象となる経費は下記のようなものとなります。
補助対象「外」の経費
- 汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)
- 経費の支払いは「銀行振込」である必要がある。現金支払いの場合、補助対象外となる
- 相殺や小切手、商品券等による支払い
- クレジットカード払い等で、口座から引き落とされた日が、補助事業実施期限を過ぎている支払い
- オークションによる購入
その他注意点
- 100万円(税込)を超える支払いは、2社以上の見積もりが必要。中古品の購入(50万円(税抜き)未満のものであること)については、金額に関わらず、すべて、2社以上からの見積が必須。
申請から入金までの流れ
申請から補助金の交付までの大まかな流れは下記のとおりです。
詳細は公式サイトを参照してください
- 申請の準備
申請のために必要な書類を準備します。
※公募要領、参考資料など、応募時提出資料・様式集を要参照。
また、申請のためには地域の商工会・商工会議所の支援を受ける必要があります。
書類を作成したら(あるいは作成する前に)商工会議所に相談しましょう。 - 申請手続き(事業者が実施)
・電子申請または郵送により提出が可能
・商工会・商工会議所地区ごとに申請先は異なる
・電子申請にあたっては、補助金申請システム(Jグランツ)を利用する - 申請内容の審査
・提出された申請内容について、外部有識者等により審査が行われます。
※給付金、支援金等とは異なり、要件を満たす全ての方が採択となるわけではありません。 - 補助事業の実施(事業者が実施)
審査終了後、採択案件を補助金事務局ホームページに公表の上、採択の結果が通知されます。
採択決定者については、応募時に提出した「補助金交付申請書」を補助金事務局で確認し、不備等がなければ、「交付決定通知書」が通知されます。 - 実績報告書の提出(事業者が実施)
「交付決定通知書」を受領後申請時に提出した補助事業計画に沿って、事業を実施します。
※事業は補助事業実施期限までに完了する必要があります。
※交付決定日(交付決定通知書の日付)から補助事業実施期限までに発注、支払いを完了したもののみが補助対象となります。 - 確定検査・補助金額の確定
補助事業終了後、その日から起算して30日を経過した日又は最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに補助事業の実施内容と経費内容(支出内容)を取りまとめた実績報告書を提出します。 - 補助金の請求(事業者が実施)
実績報告書のほか、支出ごとの証拠書類について、事務局が審査・確認を行い、補助金額を確定します。 - 補助金の入金
補助事業者に交付(入金)されます。(請求後、振り込み手続き等を行うため、数週間程度かかります。) - 事業効果報告(事業者が実施)
補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」(交付規程様式第14号)を文書等で提出が必要です。
おわりに
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者にとって強い味方となる制度です。
申請や手続きについて、やや面倒に感じるかもしれませんが、商工会議所に相談したり、書類作成・申請の専門家である行政書士や経営の専門家である中小企業診断士などに相談してみましょう。
本記事が小規模事業者のお役に立てれば幸いです。