資金調達は女性の起業の高いハードル
近年は昔に比べ、女性起業家が増えています。
東京商工リサーチによる第12回「全国女性社長調査」によると、2023年の女性社長は全国に61万2,224人です。
調査をスタートした2010年では女性起業家が21万2,153人だったため、13年の間に約3倍も増加したことがわかります。
一方で、男性起業家と比較して、女性起業家は資金調達が難しいという課題を抱えています。
様々な調査で、資金調達において男性起業家よりも女性起業家の方が起業における融資調達額が低いという調査結果が発表されています。
起業にあたり、起業資金を全額自己負担でスタートすることはまれで、多くは金融機関などからの融資を受けます。
そのため、起業を志す女性にとって、資金調達のハードルの高さはそのまま起業およびその後の事業継続の難しさに直結している、と言えます。
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)とは
しかし、女性の活躍を推進している政府としても、そのような状況について施策を打っています。
そのひとつが、日本政策金融公庫の制度である新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)です。
※日本政策金融公庫とは:政府が100%出資している金融機関。全国に152支店を設置。
この制度は新規開業資金は、若者・シニアおよび女性の起業を積極的に支援しており、融資に特別利率が適用されるなど、魅力的な条件が揃っています。
日本政策金融公庫の制度概要
日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主に対して、さまざまな金融支援を行っている国の機関です。
新規開業資金は、その中でも新たに事業を始める方や、創業後間もない方を対象とした融資制度です。
特に、女性、若者、シニアの方に対して、特別利率が適用されるなど、積極的に支援を行っています。
対象となる方
制度の対象となるのは、下記に該当する方です。
- 女性の方
- 35歳未満の方
- 55歳以上の方
- 新たに事業を始める方
- 事業開始後おおむね7年以内の方
要約すると、女性は年齢によらず対象、男性は35歳~54歳以外の方、ということですね。
あとは、事業開始前だけではなく、事業を開始した後でも7年以内であれば対象となります。
融資限度額
最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)
※「補助」ではなく「融資」なので、融資を受けた金額(+利息)について返済義務があります。
返済期間
- 設備資金:20年以内<うち据置期間5年以内>
- 運転資金:10年以内<うち据置期間5年以内>
※据置期間:元金の返済が発生せず、利息のみを支払う期間のこと。
利用できる資金の種類と使途
- 設備資金
事務機器、店舗改装費、車両購入費など、事業を行うために必要な設備の購入や、事業所の開設などに利用できます。 - 運転資金
仕入代、従業員の給料、家賃など、事業を継続するために必要な運転資金として利用できます。
補助金などでは、種類によっては設備資金のみ、運転資金のみ、など使途が限定されているものもありますが、本制度は使途が幅広く設定されている、と言えます。
特別利率のメリット
(詳細は割愛しますが、)日本政策金融公庫の新規開業資金は、国が中小企業の創業を支援するために行っている政策の一環であるため、民間金融機関と比較して非常に低い金利で融資を受けることができるというメリットがあります。
※詳細な利率は末尾「参考サイト」をご参照ください。
融資を受けるまでの流れ
申し込みから融資までには1か月ほどを見ておくと良いでしょう。
融資までのプロセスは以下のとおりです。
①日本政策金融公庫に相談
最寄りの日本政策金融公庫に相談します。
②申し込み
以下の必要書類を日本政策金融公庫の支店窓口へ「持参」または「郵送」します。
- 借入申込書
- 創業計画書
- 見積書(設備資金の場合)
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
③面談
申し込みから1週間以内をめどに、審査担当者との面談が行われます。
④創業予定地の確認
審査担当者が創業予定地を直接訪れ、立地の利便性や競合環境の調査が行われます。
⑤審査
審査結果は面談から2週間程度で届きます。
⑥契約~融資
審査結果に同封された契約書に記入等をし、郵送で提出。その後、融資金が指定口座に入金されます。
おわりに
新規開業資金は、女性、若者/シニアの事業の成功を後押しする強力な助けとなります。
本記事で紹介した情報を参考に、ぜひ一度、日本政策金融公庫に相談してみてください。
参考サイト
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/02_zyoseikigyouka_m.html