起業したり事業を始めようとしたときに、形態としては「株式会社」が一般的です。
一方で、既に個人事業主として事業を営んでいる複数人が、新たに事業を始めたい場合、株式会社という形態がそぐわない場合もあります。
そのような場合に適しているのが「組合」という形態です。
本記事では、中小企業組合について詳しく解説していきます。
中小企業組合とは?株式会社との違い
中小企業組合とは、中小企業者等が連携し、相互扶助の精神に基づいて共同で事業を行う組織です。
組合員は、それぞれの事業の強みを持ち寄り、経営資源を共有することで、単独では難しい事業展開や課題解決を目指します。
一方、株式会社は株主が出資し、利益を追求する組織です。
株主は出資額に応じて議決権を持ち、会社の経営に参画します。
中小企業組合と株式会社の主な違いは、以下の表のとおりです。
項目 | 中小企業組合 | 株式会社 |
---|---|---|
目的 | 組合員の相互扶助、共同事業 | 利益の追求 |
法的根拠 | 中小企業等協同組合法、中小企業団体の組織に関する法律など | 会社法 |
設立要件 | 組合の種類によって異なる | 資本金1円以上、発起人1人以上 |
構成員 | 中小企業者、個人事業者など | 株主 |
意思決定 | 組合員による総会、理事会 | 株主総会、取締役会 |
利益配分 | 出資額や利用分量に応じて分配 | 出資額に応じて配当 |
税制 | 一部の税制優遇措置あり | 法人税など |
中小企業組合は、組合員の連携によって生まれるシナジー効果を最大限に活用し、事業の発展を目指す組織です。
一方、株式会社は、株主の利益を追求し、効率的な経営を行うことを目的としています。
大きな違いとしては、株式会社が「資本」をベースとした組織であるのに対して、組合は「人」をベースとした組織という違いがあります。
中小企業組合のメリット・デメリット
中小企業組合には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 共同事業によるスケールメリット
共同購買、共同販売、共同研究開発など、単独では難しい事業展開が可能となります - 経営資源の共有
組合員がそれぞれの強みを持ち寄り、経営ノウハウ、技術、設備などを共有することも可能です - 情報交換・交流
組合員同士の情報交換や交流を通じて、新たなビジネスチャンスや課題解決の糸口を発見する機会にもなります - 信用力向上
組合として取引を行うことで、個々の企業よりも信用力の向上が期待できます - 行政・支援機関からの支援
中小企業組合は、国や地方自治体、中小企業支援機関などから様々な支援を受けられたり、補助を受ける主体となりえます
デメリット
- 意思決定の遅さ
組合員の意見調整が必要なため、意思決定に時間がかかる場合があります - 組合員間の意見対立
組合員の意見が対立した場合、調整が難しい可能性があります - 組合運営の負担
組合の運営には、事務作業や会議など、一定の負担がかかります - 組合員の責任
組合の債務について、組合員が責任を負う場合があります
中小企業組合は、メリットとデメリットを十分に理解した上で、自社の事業戦略に合致するかどうかを検討する必要があります。
中小企業組合の種類と特徴
中小企業組合は、中小企業者等が連携し、相互扶助の精神に基づいて共同で事業を行う組織です。
組合の種類によって、目的、事業内容、設立要件などが異なります。
事業協同組合
- 目的: 組合員の事業の発展を支援
- 事業内容: 共同購買、共同販売、共同生産、共同研究開発など
- 特徴: 幅広い事業を行うことができ、中小企業組合の中で最も一般的な形態
- 根拠法: 中小企業等協同組合法
信用協同組合
- 目的: 組合員の金融ニーズに対応
- 事業内容: 組合員からの預金、組合員への融資
- 特徴: 金融機関としての機能を持つ
- 根拠法: 中小企業等協同組合法
企業組合
- 目的: 組合員が共同で事業を行う
- 事業内容: 組合員が出資し、従業員として事業に従事
- 特徴: 組合員が出資者であり、従業員でもある
- 根拠法: 中小企業等協同組合法
協同組合連合会
- 目的: 複数の協同組合が連携し、共同で事業を行う
- 事業内容: 組合員の共同事業の支援、組合員の意見調整
- 特徴: 複数の協同組合が連携することで、より大きな事業を行うことが可能
- 根拠法: 中小企業等協同組合法
商工組合
- 目的: 同業種の中小企業者が連携し、業界の発展を目指す
- 事業内容: 業界の調査研究、技術指導、情報提供
- 特徴: 同業種の中小企業者が連携することで、業界全体の発展を目指す
- 根拠法: 中小企業団体の組織に関する法律
商店街振興組合
- 目的: 商店街の活性化
- 事業内容: 商店街のイベント企画、共同販売、共同広告
- 特徴: 商店街の活性化に特化した組合
- 根拠法: 商店街振興組合法
中小企業組合の種類と特徴比較表
組合の種類 | 目的 | 事業内容 | 特徴 | 根拠法 |
---|---|---|---|---|
事業協同組合 | 組合員の事業の発展を支援 | 共同購買、共同販売、共同生産、共同研究開発など | 幅広い事業を行うことができ、中小企業組合の中で最も一般的な形態 | 中小企業等協同組合法 |
信用協同組合 | 組合員の金融ニーズに対応 | 組合員からの預金、組合員への融資 | 金融機関としての機能を持つ | 中小企業等協同組合法 |
企業組合 | 組合員が共同で事業を行う | 組合員が出資し、従業員として事業に従事 | 組合員が出資者であり、従業員でもある | 中小企業等協同組合法 |
協同組合連合会 | 複数の協同組合が連携し、共同で事業を行う | 組合員の共同事業の支援、組合員の意見調整 | 複数の協同組合が連携することで、より大きな事業を行うことが可能 | 中小企業等協同組合法 |
商工組合 | 同業種の中小企業者が連携し、業界の発展を目指す | 業界の調査研究、技術指導、情報提供 | 同業種の中小企業者が連携することで、業界全体の発展を目指す | 中小企業団体の組織に関する法律 |
商店街振興組合 | 商店街の活性化 | 商店街のイベント企画、共同販売、共同広告 | 商店街の活性化に特化した組合 | 商店街振興組合法 |
上記以外にも、生活衛生同業組合、酒造組合、森林組合など、様々な種類の中小企業組合が存在します。
中小企業組合は、それぞれの組合の目的や事業内容、特徴などを十分に理解し、自社の事業戦略に合った組合を選択・設立することが重要です。
中小企業組合の設立要件と手続き
中小企業組合の設立要件と手続きは、組合の種類によって異なります。
ここでは、一般的な事業協同組合の設立要件と手続きについて、概要を解説します。

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詳細は別途記事にしたいと思います!
設立要件
- 組合員数:4人以上
- 組合員の資格:中小企業者等
- 事業計画:組合の事業内容、収支計画などを記載した事業計画書
- 定款:組合の組織、運営、事業活動などを定めた定款
設立手続き
- 設立発起人会の開催
- 定款の作成
- 事業計画書の作成
- 設立同意書の作成
- 設立総会の開催
- 設立認可申請
- 設立登記
中小企業組合の運営と注意点
中小企業組合の運営には、組合員の協力が不可欠です。
組合員は、組合の運営に積極的に参加し、意見交換や情報共有を行うことが重要です。
また、中小企業組合は、法令や定款を遵守し、適切な会計処理を行う必要があります。
組合の運営状況や財務状況を定期的に確認し、組合員に報告することも重要です。
中小企業組合を設立・運営する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 組合員の意見を十分に聞き、合意形成を図る
- 組合の事業計画や運営方針を明確にする
- 組合の運営に必要な人材を確保する
- 組合の財務状況を把握し、適切な会計処理を行う
- 法令や定款を遵守する
まとめ
中小企業組合は、株式会社とは異なる組織形態であり、中小企業者等が連携し、相互に協力することで、事業の発展を目指す組織です。
組合の種類や特徴、設立要件、運営方法などを十分に理解し、自社の事業戦略に合った組合を選択・設立することが重要です。
この記事が、中小企業組合について理解を深め、起業や事業の発展に役立つ情報となれば幸いです。
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