はじめに
この度、中小企業庁より、「新事業進出補助金」の第2回公募要領が2025年9月12日に公開されました。
新事業進出補助金は、革新的な新事業への進出を計画している中小企業や個人事業主を支援する、非常に重要な補助金です。
この記事では、公募要領の内容を徹底的に分析し、特に重要なポイントを分かりやすく解説します。
補助金の申請は準備がすべて。この記事を読んで、補助金獲得に向けた第一歩を踏み出しましょう。
新事業進出補助金の概要と目的
新事業進出補助金は、国内の中小企業が新たな市場や分野に進出する際に発生する、多岐にわたる費用を支援する目的で創設されました。
グローバル化が進む現代社会において、企業が持続的に成長するためには、既存の事業モデルに固執せず、常に新しい挑戦を続けることが不可欠です。
しかし、新事業への進出は、多額の初期投資やリスクを伴います。
この補助金は、そうした企業の挑戦を後押しし、経済全体の活性化を図ることを目的としています。
補助金の対象となる事業は、「既存事業と異なる市場や顧客層をターゲットとした新製品・新サービスの開発・提供」や、「新たな生産方式の導入による事業の多角化」など、企業の成長を飛躍的に加速させるような革新的な取り組みです。
単なる既存事業の延長線上にあるような改善や改修は、原則として対象外となります。
この点が、本補助金の最も重要な特徴の一つと言えるでしょう。
また、本補助金は、単に資金を支給するだけでなく、事業計画の策定から実行、そして事業の成功に至るまでのプロセス全体を支援する仕組みが取り入れられています。
具体的には、外部の専門家やコンサルタントの活用を補助対象経費に含めることができるため、専門的な知見を活用しながら事業を進めることが可能です。
これは、特に経営資源が限られている中小企業にとって、非常に大きなメリットとなります。
公募要領で確認すべき申請要件と補助対象者
公募要領には、補助金に申請できる事業者の条件が詳細に記載されています。
申請を検討する際には、まずご自身がこの要件を満たしているかを厳密に確認する必要があります。
補助対象者
- 中小企業者
会社法上の株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、個人事業主などが対象となります。 - 事業規模
資本金、従業員数に上限が設定されています。例えば、製造業の場合は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業の場合は資本金1億円以下または従業員100人以下といった具合です。
業種によって細かく区分されているため、ご自身の事業がどの区分に該当するかを公募要領で確認しましょう。 - その他
暴力団員等に該当しないこと、補助金の申請にあたり不正行為等を行っていないことなど、社会的な信頼性を問われる要件も含まれます。
申請要件
- 事業計画の策定
新事業進出に向けた具体的な事業計画を策定し、提出することが求められます。
計画には、事業の新規性、市場性、実現可能性、そして収益性などが明確に記載されている必要があります。 - 財務要件
申請時点で、財務状況が著しく悪化していないことが求められます。
具体的には、直近の決算期において債務超過でないこと、または継続的な事業運営が見込めることが重要な判断基準となります。
これらの要件を満たしていない場合、どんなに優れた事業計画であっても、申請自体が受理されない可能性があります。
特に、事業計画の新規性や実現可能性は、補助金の目的でもあり、審査における最も重要なポイントです。
既存事業の延長線上ではない、革新的なアイデアを明確に提示することが成功の鍵となります。
補助対象経費の範囲と申請時の注意点
補助金は、事業の実施に必要な経費を補助するものですが、何でもかんでも対象となるわけではありません。
公募要領には、補助対象となる経費と、対象とならない経費が明確に記載されています。
補助対象経費の例
- 機械装置等費 : 新事業に必要な機械、装置、ソフトウェア、工具、器具などの購入費用。
- 技術導入費 : 新事業に必要な技術やノウハウを外部から導入するための費用。
- 外注費 : 新事業の一部を外部に委託するための費用。
- 専門家経費 : 外部のコンサルタントや専門家への相談料、指導料。
- 広告宣伝費 : 新製品・新サービスの市場への周知、販売促進にかかる費用。
- 旅費 : 新事業の市場調査や技術習得のための出張旅費。
申請時の注意点
- 証拠書類の保管
補助金の交付決定後、経費を支払った際には、必ず領収書や請求書、振込証明書など、支出を証明できる書類を厳重に保管する必要があります。 - 経費の妥当性
補助対象経費は、すべて事業に直接関連し、その妥当性が証明できるものでなければなりません。例えば、高額すぎる機械の購入や、事業規模に不相応な広告宣伝費は、認められない可能性があります。 - 事前着手の原則禁止
原則として、補助金の交付決定通知書を受け取る前に発注・契約・支払いを行った経費は、補助対象となりません。
経費の範囲を正確に理解し、計画的に支出することが、補助金事業を円滑に進める上で不可欠です。
事業計画書の作成ポイントと採択率を高める秘訣
採択される事業計画書を作成するためには、公募要領の要件を満たすだけでなく、審査員の心に響く説得力のある内容にすることが重要です。
事業計画書の作成ポイント
- 新事業の「新規性」を明確に
なぜその事業が革新的なのか、既存の製品やサービスと何が違うのかを、客観的なデータや市場調査の結果に基づいて具体的に記述します。 - 市場と顧客の分析
ターゲットとする市場の規模、成長性、そして顧客のニーズを詳細に分析します。 - 実現可能性の提示
どのような人員体制で、どのようなスケジュールで事業を進めるのか、具体的な計画を明記します。 - 収益性の根拠
事業がどのように収益を生み出し、持続的に成長していくのか、売上予測や費用計画を具体的に示します。 - ストーリー性を持たせる
なぜこの事業を始めるのか、どのような社会課題を解決したいのか、といった熱意やビジョンを盛り込むことで、審査員の共感を呼び起こします。
採択率を高める秘訣
- 専門家への相談
行政書士や中小企業診断士など、補助金申請に精通した専門家に相談することで、事業計画の客観性を高め、書類の不備を防ぐことができます。 - 徹底的な情報収集
過去の採択事例や公募要領の隅々まで確認し、求められる要件を深く理解することが重要です。 - 複数回見直し
計画書を作成したら、自分だけでなく、第三者の目で見直しを依頼し、論理的な矛盾や分かりにくい部分がないか確認しましょう。
基本的な事業計画書の書き方については、下記もご参照ください。
https://tri-support.com/archives/category/company/strategy
申請から交付までのスケジュールと今後の展望
補助金の申請から交付までの流れは、非常にタイトなスケジュールで進行します。計画的な準備が不可欠です。
2025年度(第2回公募)のスケジュール

- 公募期間 : 2025年9月12日(金)~2025年12月19日(金)18:00
- 申請受付開始 : 2025年11月10日(月)
- 採択結果発表 : 2026年3月下旬頃
参考サイト
おわりに|新事業進出補助金の今後の展望
新事業進出補助金は、今後も継続的に公募が行われる可能性が高いと予想されます。
今回の公募で間に合わなかったり、採択されなかったとしても諦める必要はありません。
事業計画や申請書類の内容を見直し、ブラッシュアップすることで、次回以降の採択に繋がる可能性があります。
新事業への挑戦は、決して簡単なことではありませんが、補助金を活用することで、リスクを軽減し、成功への道を切り開くことができます。ぜひ、この機会に補助金の活用を検討してみてください。

Nao
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