はじめに|「技術力×資金調達支援」の強力な営業戦略

Nao
この記事は以下の方に役立つ情報となっています♪
・小規模なシステム開発会社
・一人社長のIT系会社
・個人事業主のITエンジニア
IT系の事業会社において、案件を獲得する際には、サービスの核である技術力をアピールするのは当然ですが、近年、IT業界を取り巻く環境は急速に変化しています。
ITサービスの多様化が進み、クラウドベースのSaaSが普及したことに加え、生成AIの利用や市民開発(ローコード・ノーコード開発)が活発化しています。
これにより、一般的な業務効率化ツールの開発やWeb制作では、「サービス内容そのもの」での差別化が非常に難しくなってきています。
このような状況下で、技術力だけをウリにしても競合との差別化は難しく、価格競争に陥りがちです。
お客様がシステム導入に踏み切る際の最大のネックは、依然として高額な初期投資であることに変わりはありません。
本記事では、貴社の技術力によるソリューション提案に、IT導入補助金などの資金調達支援(補助金)を組み合わせる戦略を提案します。
技術力だけでは不十分!お客様の「コストの壁」を補助金で打ち破る
1. 中小企業のIT投資実態と補助金の必要性
この記事をご覧になっている事業者の皆さまの顧客としては、おそらく小規模事業者・中小企業を顧客(あるいはメインターゲット)としている事業者の方が多いと思います。
中小企業がシステムを導入する際の最大の障壁は「コスト」です。
この障壁の大きさを理解するために、中小企業のIT投資実態を見てみましょう。
【中小企業のIT投資実態】
| 企業の属性 | IT関連への年間平均投資金額(出典) |
|---|---|
| 中小企業全体 | 約200万円(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)『DX白書2023』より) |
| 小規模企業(従業員5名以下) | 約60万円~100万円程度(総務省『通信利用動向調査』および各種補助金統計より推計) |
多くの中小企業にとって、この平均投資額を超えるシステム導入は、経営上大きな決断となります。
特に、IT導入補助金の上限額が一般に数十万円から数百万円であることを考慮すると、補助金は平均的な年間IT投資額を大きく上回る提案を実現するための決定的な手段となることがわかります。
2. 「技術力+資金調達支援」による差別化
小規模なシステム会社が自社システム/サービスの提案の際に、この「コストの壁」を打ち破る武器が「資金調達支援」です。
- 技術力のみの提案:「弊社の技術で業務を20%効率化します。」
- 技術力+資金調達支援の提案:「弊社の技術で業務を20%効率化し、導入費用の最大2/3を補助金で賄えます。初期投資リスクを大幅に軽減し、平均的な年間IT投資額内で大規模なシステム導入を実現できます。」
いかがでしょうか。自社が提案を受ける立場だったら、どちらが魅力的でしょうか?
お客様は導入費用が実質的に軽減されることで、価格交渉ではなく「本当に必要なソリューション選択」に意識を集中できます。また、単なるシステムの提案ではなく、「経営や資金繰りにも理解のあるシステム会社である」と印象付けることができるでしょう。
3. 行政書士との連携体制の構築
とはいえ、自社のコアコンピタンスである技術力のほか、補助金申請の体制も内製するのは現実出来ではありません。
貴社は技術提供に集中し、補助金申請サポートは行政書士と連携して行います。この役割分担により、貴社は本業を妨げることなく、お客様には「採択率の高いプロの支援」という付加価値を提供できます。
- 貴社の役割: 課題解決のためのシステム設計・提案。
- 行政書士の役割: 採択に向けた事業計画書の作成、申請手続きサポート。
このパッケージ提案によって、小規模システム会社が大手競合と対等に戦うための強力な差別化要因となります。
具体的な提案イメージ|「補助金対応型」提案書とは
補助金活用を前提とした提案は、単なる営業資料ではなく、「採択されるための事業計画書」としての要素が必要です。
1. 補助金が求める「事業計画」の構成要素
補助金は、単なる費用の補填ではなく、日本経済全体の生産性向上やイノベーション促進を目的としています。そのため、提案書には以下のストーリーを盛り込みます。
- As-Is(現状と課題): お客様が抱える具体的な経営課題を数値で定義。
- How(貴社の技術): 貴社のシステムがその課題をどのように解決するかを明確に説明。
- To-Be(目標と効果): 導入後に達成される「労働生産性の向上」といった定量的目標を明確に記載(例:工数25%削減、売上15%向上)。
貴社のシステムは、この変革ストーリーにおける最も重要な『How(実現手段)』であることを、お客様に強く印象づけます。
2. 法務リスクを軽減する提案のスコープ管理
補助金が採択されると、原則として事業内容や費用の大きな変更は認められません。
そのため、実際のシステム開発をするにあたっても、以下のようなメリットが考えられます。
- 要件定義の早期固定化
提案の初期段階で、システムの提供範囲(スコープ)と機能を極力明確にし、仕様の変更は追加費用・別途契約となることを明記します。
これにより、システム開発あるあるの「あとから要件の追加」のブレーキとなります。 - 役務提供の責任範囲の明確化
貴社が提供する「システム開発」と、行政書士が提供する「補助金申請代行」の責任範囲を明確に分け、お客様に提示します。「補助金が不採択の場合のシステム費用」といったセンシティブな点についても、明確なポリシーを事前に伝達することが、後のトラブル防止に繋がります。
3. 補助金を活用した自社の事業拡大戦略
また、資金調達支援の知識は、お客様の案件獲得だけでなく、貴社自身の事業拡大(DX)にも活用できます。
- 自社製品の補助金対象化
メジャーな補助金である「IT導入補助金」では、導入対象となるITツールがあらかじめ決まっています。もし独自開発したSaaSやパッケージ製品をIT導入補助金の「ITツール」として登録することができれば、強力な営業・販促ツールとなります。これにより、「最大2/3が国からの支援」という強力な販促が可能になり、安定的なストック収益の獲得に繋がります。 - 新たな技術分野への進出
AI開発やRPA導入といった新分野への進出時、事業再構築補助金などを活用することで、初期投資リスクを軽減し、より早く新たな収益源を確保できます。
お客様に提案する資金調達については、「自社でも実際に活用しています」と実績を示すのが一番です。
自社での補助金活用も検討してみましょう。
おわりに|技術と経営支援の融合で顧客とのパートナーシップを築く
小規模システム会社が勝ち残るための戦略は、核となる「技術力」に「導入コスト軽減」という経営視点のソリューションを融合させることです。
お客様は、単なるシステム開発業者ではなく、事業の成功を経営面からもサポートしてくれる真のパートナーを求めています。
貴社の技術を最大限に活かし、お客様の事業成功を加速させるための契約書作成、IT法務リスク管理、そして各種補助金申請支援は、弊事務所にお任せください。
