はじめに
美容院を開業予定の皆さま、おめでとうございます!
夢の実現に向けて一歩を踏み出すのは、とてもワクワクする瞬間ですね。
一方で、美容院を開業するためには、様々な準備や手続きが必要になります。
特に、理容所・美容所開設許可申請は、開業に必要不可欠な手続きですが、そう経験するものではないので、苦戦する方も多いものとなります。
この記事では、神奈川県で美容院を開業しようと考えている方に向けて、開業までの流れと、理容所・美容所開設許可申請について詳しく解説していきます。
美容院開業までの流れ
美容院を開業するまでの流れは、大きく分けて以下の4つのステップに分けられます。
- 事業計画の作成
- どんな美容院にするのか、ターゲット層は誰か、など、具体的な事業計画を作成します
- 特に「資金計画」については入念なシミュレーションが必要です
- 物件探しと契約
- 立地条件や広さ、家賃などを考慮し、物件を探して契約します
- 内装工事
- 美容院のイメージに合わせて、内装工事を行います
- 保健所などの許可申請に必要な設備などを整える必要があります
- 各種手続き
- 理容所・美容所開設許可申請をはじめ、各種手続きを行います
理容所・美容所開設許可申請とは
理容所・美容所開設許可とは、理容師法および美容師法に基づいて、理容所や美容所を開設するために必要な許可です。
許可を受けるためには、保健所に対して申請を行い、審査を受ける必要があります。
理容所と美容所の違い
ちなみに理容所と美容所は明確に区別されています。
カットやパーマ、カラーができるという点では共通していますが、美容室では「容姿を美しくするため」に、理容室では「容姿を整えるため」に施術をすると定義されています。
違いとしては以下の点が挙げられます。
- 美容室でしか施術できない:ヘアセットやメイク
- 理容室でしか施術できない:顔そり
神奈川県における理容所・美容所開設許可申請の手続き
神奈川県で理容所・美容所開設許可申請を行う場合、以下の手続きが必要になります。
- 事前相談
- 開業予定地を管轄する保健所に、事前に相談を行い、必要な書類や手続きについて確認します
- 相談は工事施行前にする必要があります。場所が決まったら、まず最初に保健所に相談しましょう
- 申請書類の準備
- 申請書、図面、誓約書など、必要な書類を準備します
- 申請書の提出
- 準備した書類を、保健所に提出します
- 現地調査
- 保健所職員が、申請した店舗を現地調査します
- 許可証の交付
- 審査の結果、許可が下りれば、許可証が交付されます
申請に必要な書類
理容所・美容所開設許可申請に必要な書類は、保健所によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。
- 申請書
- 定款(法人格を取得する場合)
- 事業計画書
- 配置図
- 平面図
- 立面図
- 設備一覧
- 従業員の資格証明書
- その他
申請のポイント
理容所・美容所開設許可申請では、以下の点に注意する必要があります。
- 法令の遵守
理容師法や美容師法をはじめ、関係法令をしっかりと遵守する必要があります。 - 施設の基準
施設は、保健所の定める基準を満たしている必要があります。
(具体的な基準については後述) - 従業員の資格
従業員は、必要な資格を有している必要があります。
美容師業務をするためには、「美容師免許」が必要です。
(シャンプーやドライヤーを行ういわゆる「アシスタント」も美容師業務となるため、美容師免許が必要です) - 書類の準備
申請書類は、漏れや誤りがないように、丁寧に作成する必要があります。
申請にかかる期間と費用
申請にかかる期間は、保健所の審査状況によって異なりますが、通常、数週間から数ヶ月程度かかります。
費用は、申請手数料の他に、設計費、工事費、設備費など、様々な費用がかかります。
施設の基準について
美容師法では、法律の目的として、「美容師の資格を定めるとともに、美容の業務が適正に行われるように規律し、もつて公衆衛生の向上に資することを目的とする。」とあります。
公衆衛生の向上を目的として掲げているため、その施設についても、しっかりとした衛生環境が守られている必要があります。
構造設備に関する基準
- 作業スペース:
- 施術に必要な広さを確保し、お客様が快適に過ごせる空間であること
- 施術台や椅子、シャンプー台などの配置が適切で、動線を妨げないこと
- 換気が十分で、常に新鮮な空気が保たれること
- 待合スペース:
- お客様が待つためのスペースを確保し、椅子や雑誌などを設置すること
- 施術スペースと区切られていることが望ましい
- 洗髪・調合スペース:
- 洗髪や薬剤調合を行うためのスペースを確保し、必要な設備を設置すること
- 換気が十分で、排水設備が整っていること
- 消毒設備:
- 使用済み器具を消毒するための設備(オートクレーブなど)を設置すること
- 消毒スペースを設け、衛生的に管理すること
- 保管スペース:
- タオルや器具などを清潔に保管するためのスペースを確保すること
- 湿気や埃を防ぎ、衛生的に管理すること
- トイレ:
- お客様と従業員が使用できるトイレを設置すること
- 清潔で、換気が十分であること
- その他:
- 照明が十分で、作業しやすい明るさを確保すること
- 防火対策が講じられていること
- バリアフリーに対応していることが望ましい
衛生管理に関する基準
- 清潔保持:
- 施設全体を常に清潔に保ち、定期的な清掃を行うこと
- 使用済みタオルや器具は、適切に洗濯・消毒すること
- 器具の消毒:
- 使用する器具は、使用前に必ず消毒すること
- 消毒方法や頻度について、適切なマニュアルを作成すること
- 従業員の衛生管理:
- 従業員は、常に清潔な服装を着用し、手指消毒を徹底すること
- 健康管理に留意し、感染症予防に努めること
その他
- 消防法:
- 消防法に基づいた防火対策(消火器の設置など)を講じること
- 建築基準法:
- 建築基準法に適合した建物であること
- その他法令:
- その他、関係法令(理容師法、美容師法など)を遵守すること
美容院開業の資金調達について
美容院は物件の取得費、内装費、備品購入費、運転資金など多くの設備投資が必要であり、必要な資金は最低1,000万円とも言われています。
全額を自己資金で賄うのはなかなか厳しい場合が多いでしょう。
開業という目標を早期に実現するためには、融資や補助金なども検討しましょう。
資金調達については、以下をご参照ください。
まとめ
美容院を開業するためには、理容所・美容所開設許可申請をはじめ、様々な手続きが必要になります。
この記事では、神奈川県で美容院を開業しようと考えている方に向けて、開業までの流れと、理容所・美容所開設許可申請について解説しました。
この記事が、美容院開業の参考になれば幸いです。
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