創業時の資金調達、借入金の重要性とリスク
創業時、多くの起業家が直面するのが資金調達の問題です。
最近ではPC一台で起業できるような事業もある反面、店舗を構えるような事業の場合、多くは自己資金だけでは事業を始めるのが難しく、金融機関や投資家からの借入が選択肢となります。
しかし、借入は事業を成長させるための重要な手段である一方で、もちろん返済の義務があります。
そのため、借入をリスクとして躊躇してしまう方もいるでしょう。
本記事では、借入に伴うトラブル防止のいち手段として、借入にあたって公正証書で借用書を作成する際のポイントについて解説します。
創業資金における借入金の役割
創業初期は、売上が安定せず、資金繰りが厳しい状況が続くことがあります。
そのような状況下で、借入金は運転資金や設備投資資金として活用され、事業の成長を支える重要な役割を果たします。
具体的には、以下のような目的で借入金が利用されます。
- 運転資金
仕入代金、人件費、家賃などの支払い - 設備投資資金
事業に必要な機械、設備、車両などの購入 - 研究開発資金
新製品やサービスの開発
借入金の大きなメリットとして、「ビジネスチャンスを逃さないこと」が挙げられます。
借入をせず、すべて自己資金で賄おうとした場合、資金を貯めるのに何年もかかるかもしれません。
その間に、世間の流行やニーズが変わったり、あるいは本人のやる気や体調も変化してしまうかもしれません。
借入金は、スピーディーな事業展開には欠かせない資金調達手段であるといえます。
借入金のリスクと注意点
借入金は、事業の成長を加速させる一方で、返済義務を伴うため、慎重な検討が必要です。
- 返済負担
売上が想定通りに伸びなかった場合、返済負担が重くのしかかり、資金繰りを圧迫する可能性があります。 - 金利負担
借入金には金利がかかるため、返済総額が借入額よりも大きくなります。 - 担保・保証
金融機関から借入する場合、不動産などの担保や、代表者個人の保証が求められることがあります。 - 信用情報
返済が滞った場合、信用情報に傷がつき、今後の資金調達に影響が出る可能性があります。
借入前に検討すべきこと
借入を検討する際は、以下の点を十分に検討し、返済計画を立てることが重要です。
- 事業計画
具体的な事業計画を立て、売上予測や資金繰り計画を明確にする。
特に銀行からの融資や、国や地方公共団体からの補助金の申請の際には、事業計画書の準備が必須となります。 - 返済計画
借入額、金利、返済期間などを考慮し、無理のない返済計画を立てる。
事業が上手くいった場合の計画(ベストケース)の場合だけではなく、上手くいかなかった場合(ワーストケース)も併せて計画することが必要です。 - 資金調達先の選定
金融機関、日本政策金融公庫、信用保証協会など、様々な資金調達先を比較検討する。 - 専門家への相談
税理士、中小企業診断士などの専門家に相談し、アドバイスを受ける。
創業時の借入は、事業の成功を左右する重要な決断です。
リスクと注意点を十分に理解し、慎重に検討することが大切です。
借用書とは?公正証書で作成するメリット
借用書は、金銭の貸し借りがあったことを証明する書類です。
借用書を作成することで、貸し借りに関するトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、創業などの際に創業資金を借り入れることを想定し、借用書について解説していきます。
借用書の役割と必要性
一例として、借用書には以下の内容を記載します。
- 貸主と借主の情報
- 借入金額
- 返済期日
- 利息
- 返済方法
- 遅延損害金
このほか、借用にあたり必要事項を記載します。
借用書を作成することで、貸し借りに関する合意内容を明確にし、後日のトラブルを防ぐことができます。
特に、高額な貸し借りや、返済期間が長期にわたる場合は、借用書の作成が重要です。
借用書を公正証書で作成するメリット
借用書は、私文書として作成することもできますが、公正証書で作成することで、より高い証明力を持つことができます。
公正証書とは、公証人法に基づいて公証人が作成する公文書です。
公証役場にて、公証人に文書を作成してもらうことになります。
公正証書は、裁判の証拠として高い証明力を持ち、強制執行の対象となるため、貸主にとっては債権回収の面で大きなメリットがあります。
- 高い証明力
公正証書は、公文書であるため、裁判の証拠として高い証明力を持ちます。 - 強制執行
返済が滞った場合、裁判所の判決を待たずに、強制執行の手続きを行うことができます。 - 改ざん防止
公正証書は、公証役場で厳重に保管されるため、改ざんのリスクがありません。
そのため、借入の際には貸主から公正証書での借用書を求められることもあります。
公正証書作成のデメリットと注意点
公正証書は、高い証明力を持つ一方で、作成に手間と費用がかかるというデメリットもあります。
- 作成費用
作成した書類は「公証人」に確認してもらって初めて「公正証書」となりますが、この公証人確認の手数料がかかります。
また、多くは公正証書の作成に慣れていない場合、専門家(行政書士、司法書士、弁護士等)に依頼する場合が多く、その場合の報酬も費用としてかかります。 - 手続き
公証役場との打ち合わせや、必要書類の準備など、手続きに時間がかかります。 - 借主の同意
公正証書を作成するには、借主の同意が必要です。
公正証書を作成するかどうかは、借入金額や返済期間、借主との関係などを考慮して判断する必要があります。
公正証書で借用書を作成する流れ
公正証書で借用書を作成するには、公証役場との打ち合わせや、必要書類の準備など、いくつかのステップを踏む必要があります。
公証役場との打ち合わせ
まずは、公証役場に連絡し、公正証書作成の相談をします。
相談では、借入の経緯や条件、必要書類などについて説明します。
公証人は、相談内容に基づいて、公正証書の案文を作成します。
案文は、貸主と借主で内容を確認し、修正が必要な場合は、再度打ち合わせを行います。
必要書類の準備
公正証書作成には、以下の書類が必要です。
- 貸主と借主の本人確認書類
印鑑証明書、運転免許証、パスポートなど - 借用書の案文
- その他、公証人が指示する書類
公証役場での手続き
必要書類が揃ったら、公証役場に予約をし、公正証書の作成手続きを行います。
手続きでは、公証人が公正証書の内容を読み上げ、貸主と借主が内容を確認します。
内容に問題がなければ、署名捺印をし、公正証書が作成されます。
公正証書の保管
作成された公正証書は、公証役場で厳重に保管されます。
貸主と借主には、公正証書の謄本が交付されます。
公正証書作成の際の注意点とポイント
公正証書を作成する際は、以下の点に注意し、スムーズな手続きを心がけましょう。
借用書の記載内容
借用書には、以下の内容を明確に記載します。
- 貸主と借主の情報: 氏名、住所、連絡先
- 借入金額: 金額は、漢数字と算用数字の両方で記載します。
- 返済期日: 返済期日を明確に記載します。
- 利息: 利息の有無、利率、計算方法などを記載します。
- 返済方法: 返済方法(銀行振込、現金など)を記載します。
- 遅延損害金: 返済が遅れた場合の遅延損害金について記載します。
- 期限の利益喪失条項: 返済が滞った場合に、残りの債務を一括で請求できる条項を記載します。
公証人とのコミュニケーション
公証人は、公正証書作成の専門家です。
不明な点や疑問点があれば、遠慮なく質問し、アドバイスを受けましょう。
必要書類の準備
必要書類は、事前に確認し、不足がないように準備しましょう。
書類に不備があると、手続きが遅れる可能性があります。
借主との合意
公正証書を作成するには、借主の同意が必要です。
借主と十分に話し合い、合意した上で手続きを進めましょう。
創業時の資金調達、専門家のアドバイスを活用しよう
創業時の資金調達は、事業の成功を左右する重要な要素です。
借入金の活用は、事業の成長を加速させる一方で、リスクも伴います。
資金調達に関する知識や経験が不足している場合は、専門家のアドバイスを活用することをおすすめします。
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